<ダイニングチェアの修復(2003年6月21日〜7月26日)>             P1/P2/P3/P4/番外


アンティーク家具修復の番外編です。
ダイニングチェアの、折れた脚・欠けた脚を修復しました。

この椅子は、1930年代にイギリスで製作されたダイニングチェアです。
アンティーク家具は、イギリスからコンテナ船で輸送される際に赤道直下を通る為、日本に到着するときには、イギリスで積込んだときよりも更に傷んだ状態で運ばれてくることが多いそうです。このため通常は、どの家具も修復してから店頭に並べられていますが、今回修復する椅子は、修復前のものを安く購入したものです。修復前とはいえガタツキ等もなくしっかりしており、そのままでも使用できる状態だと思います。ところが家まで宅配便で輸送されてくる間の事故で、真ん中の写真のように脚が折れてしまいました。

  


折れた脚の修復

折れた脚の修復は接着するだけで済ませることもあるそうですが、強度が低く、座るには若干不安が残ります。そこで強度を上げるために、中に木の棒をとおして修復します。
折れた場所が上から近ければ(ドリルの刃が届くところなら)、上からまっすぐに棒を通す予定でしたが、測ったところ上から11.5cmのところでありドリルが届かないことがわかったため、側面から斜めに棒をとおすことになりました。

まず、木工用ボンドを使って折れた部分を接着し、その後電気ドリルを使って、木の棒を通すための穴を開けます。棒が折れた脚のつなぎになるように、角度と長さを計ってから穴を開けました。


なお、あ〜坊は電気ドリルを使うのは初めてだったので、木の切れ端で6つほど穴あけの練習をしました。(写真右端)
光が反射してちょっと見づらいですが、穴が開いた状態です。最初に細いドリルの刃で途中まで穴を開け、その後本番の太さの刃を使って穴を開けました。
木の棒に木工用ボンドをからませ、穴にも少し注入し、棒を回しながらすばやく穴に通しました。折れた部分をつなぐような場所と角度がポイントです。なお棒は貫通させていません。これも、ドリルをどこまで通すか事前に計ってから、作業を行いました。
外に出ていた棒を、のこぎりを使って切り落とし、更にサンドペーパーで表面をなめらかにしました。
最後に、家具等の修復に使われる補修用のペンで、傷まわりに色を塗りました。
傷も目立たなくなり、普通に椅子として使えるようになりました。これで折れた脚の修復は終了です。


欠けた脚の修復

小さな傷は、ワックスや、修復用のクレヨンやペンで、簡単にタッチアップするだけで修復できます。また、少し傷が大きい場合は、サンドペーパーで表面をなめらかにしてから、ペンで塗るときれいになります。
しかし今回はかなり大きく欠けているので、パテ、またはエポキシで修復することにしました。

最初の予定では、パテを使って修復をするはずでした。写真のように欠けた部分に多めのパテを塗って補い、乾いてから余分な部分をサンドペーパーで削って形を整えようとしたのですが・・・。
ここでアクシデント発生。。。パテの間に空気が入ってしまったのか、パテが完全に乾いていなかったのか、サンドペーパーで削っているうちにパテがひび割れてきてしまいました。
ということで、もう一度やり直しをすることに。
失敗したパテを取り除き、今度はエポキシをこねて写真のように欠けたところに補いました。
とりあえず今日は、ここまで。
次回までゆっくり乾かし、再度修復を再開する予定です。
しっかり乾いたので、余分なところをサンドペーパーで削ります。始める前に、周りを養生しています。
形が整ったところで、スプレー式のサンディグシーラーを施したところです。
スプレー式の着色塗料(チーク)を使って塗装し、修復が完了しました。周りの木の部分と比べると、多少つるつるした違う質感になっています。脚もとの目立たないところなので、とりあえずこれで終わりです。


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